2015/11/03

Hempdrix(ヘンプドリックス)を密輸入してしまった私③

私たちを乗せた車は、関西有数の治安の悪い街、尼崎にある神戸税関尼崎出張所に到着した。

すぐに取り調べが始まった。
取り調べというのは、私の疑問や言い分より先に、自身の生誕の地から、学歴、職歴、結婚歴、子どもの有無などを聞かれる。
過去に調停離婚で生死を彷徨った私にとって、思い出すのは苦痛そのものである。
第一、生まれた時のことを覚えている犯罪者は滅多にいないはずだ。
生まれた時のことも含め、可能な限り記憶をもとに供述したが、それでも離婚時のことは供述できなかった。
思い出せない記憶と、思い出したくない記憶というのは、異なるのである。

さて、調書の作成が始まった。
驚かないでほしい。

私の罪状は、関税法違反、及び「大麻を密輸しようと企てた罪」であった。

混乱した。
大麻なぞ、雑草である。
アメリカからリスクを冒してまで密輸しなくても、日本の友人が善意でわけてくれるものだ。
カネを出して買うほど価値あるものではない。
むしろ、ドラッグに無縁だった人々が、興味本位で外国から大麻を密輸して、そのツケが私にまわってきたのではないかという疑念が頭をよぎる。

インターネットが発達した昨今の世の中、見知らぬインターネット上の人物から大麻を購入するケースが増えていると聞く。
それらのほとんどは、相場を度外視した、いわば詐欺であるが、貧困やストレスを苦に買い求める老若男女が後を絶たない。
私自身その疑惑をかけられているのではないか。

情けないことに、私はかねてからの体調不良で、昨年春頃から今年五月頃までの記憶がすっぽり抜け落ちていた。
もしかしたら私は本当に、アメリカから大麻を密輸してしまったのかもしれない。

ただ、気になることがあった。
私は確か、Hempdrix 2oz/Hempdrix Gold 2oz / Plus CBD™ 1oz

以上の三点を米国カリフォルニア在住の恐山友吉(こわやまともきち)氏及びそのご夫人、恐山洋子(こわやまようこ)氏から日本へ送っていただいたのだ。

そして、四か月近く経っても、行方不明になったマレーシア航空機のごとく、どこへ行ってしまったのかまったくわからない状態であったのだ。

それらが税関で発見され、私が起訴されてしまった可能性がある。


違法となったCBDオイル

上記のいずれも、正式に税関を通ったことを確認できていないグレーな商品である。

Cibdex(こちらは正規メーカー品で、税関の審査を正式にパスしている)は、輸送会社さんのご協力で合法と認められたが、現在は急激な円安などで入手できない状況となっている
Cibdexのおかげで精神的危機から脱した私としては、非常に残念である。

いっぽう、恐山友吉(こわやまともきち)氏が立ち上げたHempdrix(ヘンプドリックス)は、社長も社員も顧問医師も在籍しない、架空の組織である。

取り調べでは、恐山夫妻と私の関係を聞かれた。
私は単なる客であり、恐山夫妻の売り上げや製品ラインナップなど、詳しいことはわからないと話した。
捜査員の方々にとっては、意外だったかもしれない。
それから、この件は伏せたが、私が力尽きた理由のひとつに、北海道のHempdrix国内法人設立の話があった。
未着事故があまりに多いため、輸入代行関係は切って、国内を拠点にするということだったが、それに携わる人物が誰なのか、私には皆目見当がつかなかった。
ようするに私は、見限られてしまったのだ。
私は、恐山夫妻のビジネスのことを、本当に知らなかったのである。

「恐山をうらんでいるんですね?」

そう聞かれたので、私は、お世話になったのでうらんではいないと答えた。
これも意外だったかもしれない。

私のTwitterアカウントやメールアドレスが削除されていることを言及された。
故意に削除したのではない。
ほんとうに、力尽きてしまったのだ。
結果的にはそれでよかったのかもしれない。
たくさんの罪のない人々にご迷惑がかかることになるのだから。

そんな私の気持ちが伝わったのかどうかはわからないが、仕上がった調書は、私の気持ちを汲んでくださる内容だった。
私は捜査員にお礼の言葉を伝えた。

繰り返すが、Hempdrix(ヘンプドリックス)は存在しない概念である。

体質によっては、深刻な副作用が現れる。
ケミカルが混入しているのではないか、という訴えが殺到した。
「Hempdrix被害者の会」が全国に発足し、年中無休で対応にあたった。

私自身、Hempdrixの飲用は人体に悪影響があると判断し、塗ることに努めていた。
天然無添加が売りとはいえ、どんな環境で手作りされたかわからないからである。

天然の漢方薬は安全だという見方があるが、例えば市販もされている風邪薬、葛根湯などにはエフェドリンという物質が含まれる。
天然由来物質が安全であるという科学的根拠は、残念ながら存在しない。

なお、家宅捜索では、当然ながら大麻や大麻樹脂は出てこなかったが、私が冷蔵庫に隠し持っていたHempdrix(ヘンプドリックス)一式を発見されてしまった。
捜査員の方からは、破棄するようご指導があった。

慌てた私は「燃えるごみの日」に、すべて処分してしまった。
本来ならビン類は「燃えないごみの日」に処分しなければらないから、くれぐれも注意していただきたい。

次回は三ノ宮の神戸税関本庁で、取り調べがある。

PCが押収されてしまって手元にないから、おぼろげな記憶をもとに供述を続けるつもりだ。
多くの謎を解き明かすべく、捜査に協力するつもりだ。
子宮頸がんと精神病を患い、現在行方のしれない友人は、通関士を目指していた。

(つづく)



※文中に登場する人物名はすべて仮名です。Hempdrix秋山を中傷するものではありません。どうかご理解、ご了承のほどよろしくお願いいたします。